いろんな台湾 いろんな風景
台湾生活を写真で記録

2017/03/03

オハカ

悩まされていた、というほどではないですが、気になっていたことがありました。

それは、義母方の両親、つまりオット氏母方の祖父母のお墓。

ここ1年くらいでしょうか、ふとした瞬間に脳裏にその祖父母のお墓の様子が浮かんでくるのです。

私自身、霊感はありません。全然。

それに、お墓の様子が浮かんでくるからといって、怖いとかいうこともない。ただ、イメージとして浮かんでくる。特に義母や、オット氏の兄弟の事が話題に上がると、ふーっとお墓の様子が脳裏に浮かんでくる、という感じ。

そのお墓は、台北郊外にありました。もう何年もお墓参りに行っていなかったので、思い立って先週末に行ってきました。

お墓参りから遡ること3週間前、お墓参りに行こうという話をオット氏とした直後くらい、実家の片づけをしていたら、ふいにお墓の場所を記すメモ書きが出てきました。お寺の住所、名前、位置。それに、義母の父方の母、つまり義母の祖母(オット氏の曾祖母)のお墓の場所も書かれています。

不思議なことがあるものですね。

オット氏に聞くと曾祖母のお墓には幼いころに行ったような気がするけど定かではない、と。私は義母の祖母が台湾に渡ってきていた事も知らなかった!

義母の両親のお墓は、晩年一緒に暮らしていた義母の末妹夫婦が管理をしていましたが、彼女は約10年前に癌でなくなり、その旦那さんはその後再婚し、一人娘はアメリカに住んでいます。なので、もう随分と長い間、家人との縁が遠のいていた状態。

当日、高雄で花と供物を買い、連休でごった返す高鉄に大荷物で乗り込み、一路北へ。

高雄はうす曇の天気だったのが、台中を過ぎたころから雨へと変わりました。

まずは、祖父母のお墓へ向かいます。

私はここに、15年位前に一度だけ来たことがありました。冷たい雨が降る中、急な坂を登りお墓へ。



坂を上ると、墓地が広がっています。


ここはほぼ土葬のため、一つのお墓がかなり大きく、中にはとても立派なものもあります。

さて、メモには11列目、と書いてありましたが、私はなぜか「上から数えて4列目」と知っていました。うーん、なぜだろう。

傘を差しながら、転ばないように気をつけて、見つけました。上から数えて4列目にありました。

で、お墓。



壁は剥がれ落ち、地表にはひびが入り、お墓に亀裂、祖父の写真は剥がれてなくなり、祖母の写真も壊れ、木は枯れ、雑草が生い茂り・・・(台湾ではお墓や骨壷に、故人の遺影をつけるのが一般的なようです)

その荒廃たるや、想像以上。

持ってきた軍手をはめて、小雨降る中、オット氏と一緒に1時間以上かけて草刈りをし、お参りができるくらいに掃除をしました。



見晴らしはけっこういいですね。

雑草を払うだけでも結構違いました。でも、石は黒ずみ、木もほぼ枯れています。


雨が降っているので線香はつけず、お花と供物を上げて、手を合わせます(その後、供物は持ち帰り)。

壊れているところが結構ひどく、これは早く修理をしないといけません(壁が浮いている、地面に亀裂、壁が剥がれ落ちている)



その足で、お墓修理の業者さんを紹介してもらおうと、お寺に寄りました。

すると、出てきて尼僧さんは、私たちを初め不審者と思った様子(苦笑) 墓参りの時期ではなく、加えて雨の日の見知らぬ来訪者に、不信感を抱くのは致し方ないですね。

お墓を修理したい、祖父母の名前は○○○、と告げると、その尼僧さん「あー、あそこは2000年からもうずっと管理費が払われていませんよ!」と、

え!!(゚д゚)

尼僧さんの記憶力に驚愕。軽く執念というか怨念も感じたほどに。

その後尼僧さんの口からは次々と・・・・義母の兄弟構成、義母の末妹が亡くなったこと、その夫が再婚したこと、子供はアメリカにいっていること、義母の男兄弟側の親戚がお墓参りに来た事があるが経済的に困窮してそうだったこと、等など、ま~唖然とする程に、よく知っていました(;゚Д゚)

寺内の墓地ですが、ここは税金が掛かるそうで、一年にいくら払っていて、定期的に清掃の人も頼んでいるので、維持に大変お金が掛かっている、だから、管理費を払ってくれ!っていうことなんですが。

で、それを聞いたオット氏、さすがの孝行者。これからは私が払いましょう。連絡も私に下さい、と。費用は一年で6000元(日本円で約21000円)

その後、タクシーを拾って、曾祖母のお墓に向かいます。

お寺ではなく、公墓・・・なんだろう・・・パブリックな墓山?台北の六張犁の駅からすぐのところにあるお墓エリアです。

タクシーの運転手(女性)に、これからお墓参りに行くんですっていう話をしたら、「六張犁は広いわよね。前にお墓参りのためにアメリカから帰国したという人を載せた事があるけど、あの人、お墓を前にして号泣して、なんかこっちまで感動したわ」 なんていうエピソードトークをされ、地下鉄乗り継ぎでいくつもりが、タクシーの運転手があまりにも熱心にお墓参りを応援してくれるので、お墓のある辺りまで連れて行ってもらうことに。

30分以上もタクシーに乗っていたでしょうか。お墓エリアに入ると、道は車が一台通れるかというほどの狭さ。しかしエリアは広く、こんなところで一体どうやって、行ったこともない、どこにあるかもわからない曾祖母のお墓を探す事が出来ようか?という感じ。

そこで、道すがら、義母のメモにあった「○区はどこですか」と聞き歩いたところ、この辺のお墓に詳しい人に遭遇、案内をしてもらう事に。

そして、お墓エリアの入り口から2キロくらいのところでしょうか、この辺だよ、と。

すると、熱心なタクシー運転手が、「こうして案内してくれる人にはちゃんと心付けをあげなきゃだめよ!200元でいいから、あげるの!あげるのよ!!あ、紅包袋(台湾で一般的にご祝儀を入れる用に使う、赤い袋)は持ってる?私、あるからあげるわ!これに入れて、渡して!!」と。

すごいでしょ、このぐいぐいくる感。

もう何か、この女性(タクシーの運転手)には、使命感みたいなものがあるのか、それとも何かが乗り移ってるとさえ思えてしまうほどに・・・

で、”この辺のお墓に詳しい人”に心付けを渡すと、元々は、そのエリアまで私たちを連れて行って去る風だったのが、一緒にお墓を探してくれました。

そして、探す事ほんの数分、曾祖母のお墓発見!!!


もう随分長い事、手入れがされていない感がひしひしと感じられるような、雑草に侵食された感のあるお墓でしたが、あまりに雨が強いので、草刈りは断念。



 お花と供物を上げて、手を合わせるだけに。

その間も、”この辺の墓に詳しい人”は、ずっと私たちを見守ってくれていました。

お参り後、話を聞くと、彼は墓掃除代行も行っているという事で、今後の手入れをお願いすることに。代行料は年2000元(約7000円)。

高雄から、そう頻繁には来れないので、これで一安心。

タクシーは、私たちがお参りを終えるまで待っていてくれて、駅まで送ってくれました。本当にすごくいい人に出会ったものです。雨の中あんなところに置き去りにされたら、大変なことになるところでした。

お墓の後日談があるのですが、それはまた今度。